2012年11月3日土曜日

現場レポート① ~第10番療養幼稚園~



1964年に設立された幼稚園である。設立当初は普通の幼稚園であったが、1996年から障害のある子どもを受け入れ始め(当時は、障害のある子どもの割合は50%)、2008年からは障害のある子どもを100%受け入れているモンゴル唯一の療養幼稚園となった。
 第10番幼稚園では、120名までしか受け入れることが出来ないため、重度の子どもを優先的に入園させ、中軽度の子どもたちは一般幼稚園、家庭での支援をお願いせざる負えない現状である。120名の園児のうち、80%ほどが今年、新入園した子どもたちである。卒園した100名ほどの子どもたちの多くは、幼稚園、学校には行かず自宅で、適切な療養も教育も受けることが出来ずにいる。
「毎年、幼稚園にも残れず、学校にも行けない子どもたちが出てしまうことは心苦しいが、少しでも多くの子どもに療養、教育の機会を与えたいので、預かっている。120名の子どものために、職員は日々、頑張っている。療養幼稚園がもっと必要である。」と園長は語る。幼稚園としては、幼稚園に通えない子どもの支援として、家庭訪問をしたり、幼稚園に招いたりしているとのこと。学校に進学した子どもの支援として、学校に進学した子どもたちの様子を直接学校に訪問し、担任の先生からの聞き取り調査などを行っている。専門家2名を午後、第25番学校に派遣し、授業終了した子どもたちが、お迎えやスクールバスを待っている時間、車いすに座ったままにならないように連携も取っている。
在籍している子どもの70%が重度障害である。ダウン症の子どもが10人、重複障害の子どもも多い。1歳~12歳の子どもたちがここで療育、教育を受けている。
職員は49名。医師・看護師・言語聴覚士(ST)・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・幼稚園教師である。園長は、医師でありソーシャルワーカー(SW)でもある。
子どもたちは、8時に来園し、朝食をとる。個人またはグループ療育は8時から1130分まで、昼食は1130分から1330分となる。お昼寝は1330分から1530分まで、個人またはグループ療育は1530分から17時までとなる。その後、帰宅する。ほぼ全員が要介助なので、子どもたちが食事を一斉にとることが出来ない。
個人またはグループ療育については、担任、医師、PTOTSTSWにより検討し、作成された個別の指導計画に基づいて専門家が行っている。この園の専門家は、研修や大学、ボランティアと一緒に仕事をしてきたなど、様々な方法で日本の療育を学んでこられた方が多く、子どもが楽しんで参加できる工夫が多くされており、コミュニケーションも重視されていた。
13歳、35歳、58歳、812歳(小学校入学準備クラス)の年齢別クラス編成である。1クラス子ども16名に対して、担任1名、ヘルパー2名の計3名の大人が見ているが、手が足りていない。どのクラスも半数以上の子どもが車いすを使用しているため、2階の教室への移動、子どもを車いすに乗せたり降ろしたりため重労働である。
クラス指導も見せていただいた。58歳児クラスの担任の先生は、日本の特別支援学校に1年間研修に行かれていた方で、子どもの社会性を重視したクラス指導していた。音楽の先生も、子どもたちが楽しむことを重視した授業をしていた。

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